おとなのせかい
まるで分からなかった。
子供の頃は、そこと同居している。
子供の頃は、大人の世界はまるで分からなかった。そのわからない世界と、同居していた。
表面しか理解出来ない。
立場もわからない。
深い所の心情から来る振る舞いも、理解などまるで出来なかった。
理解出来なくても、そこに居るしかない。いろいろ聞かれたら、それなりになんとなく、合わせていた。
そのうちにいろんな経験をして、いつの間にか大人になってしまった。
一旦大人になってしまうと、分からないコトだらけだった子供の頃など、ケロッと忘れてしまう。
最初から、何でも分かっていたような気分になっている。かなりおめでたく出来ていると、自分で再認識する。
分からないコトばかりだが、経験を積むゴトに分かってくる。それは、同じ道を歩いているから。
同じ道を歩いていれば、いずれ分かるようになる。そして、最初から分かっていたのではないというコト。
そう考えると、どんなコトでもその道を歩いてしまえば、いずれ分かるというコトになる。
どんなに難しいコトでも、同じ道を歩くのが、一番の早道かもしれない。
言葉を学ぶのに、留学するのも、同じ道を歩かせる為なのかなと思う。
同じ道を歩けば、そこから見える景色、聞こえる音、生活、その全てが肥やしになる。
歩くだけで、そこで生きるだけで、気づかぬうちに経験値が溜まっていくのだと思う。
世の中は気づかぬうちにや、分からないコトだらけ。これは意識出来ないモノ。
意識出来ないモノでも、ちゃんと経験値になっている。
手応えはまるで無くても、栄養にはなってる。
同じ道を歩こう。それだけでイイ。それだけで、いつの間にか出来るようになってしまう。そういう仕組みだからしょうがない。
大人の世界は、わからない。いつのまにか、なっている。同じ道にいれば、無意識にいずれ出来てしまう。