むしさされ
血ぃ吸うたろか。
毒を注入。
虫はなぜ刺すのだろう。身を守る為か。吸血する為か。
身を守ろうとする虫は、分かりやすい。毒を注入して、攻撃する。
自分が生存する為に、相手を傷つけて、もしくは殺してしまう。
生息域争い。そして攻撃されない為の、防御でもある。
それ以外となると捕食の為。殺して、食べる為に毒を注入する。
ま、コレは虫刺されとは関係ないので、今回は考えないコトにする。
残るは吸血するモノ。吸血して、栄養分をもらう。
産卵する前だけ、タンパク源確保の為、一時的に血を吸うモノもいる。
あとは、食料として血を吸うモノ。
血を吸うとは、とても失礼な存在だが、吸われた動物は生き続けている。
殺してしまうワケではない。
いろんな動物の血を吸うコトで、病原体を運び、結果殺してしまうコトはあるかもしれない。
でも、吸血そのモノでは、殺すコトはない。とすると、食べる為に殺してしまう他の動物より、穏やかなのかもしれない。
しかも、対象となる相手は大きい。自分が死んでしまうリスクも高くなる。
にも関わらず、立ち向かっていく。しかも相手は殺さない。
生きている一部を、頂戴するだけ。
そう考えると、吸血する虫は、思っているほど悪い奴ではないような気がしてきた。
殺さず。いただく。
殆どの動物は、相手を殺して食べるコトを選択している。
吸血というのは、非常に希。
吸血では栄養が足りず、体を大きくするコトが出来ないのだと思う。吸血の限界。
でも、生き方として悪いとは言えない。寄生するモノ達も、基本相手は殺さない。共に生きている。
なかなかの生き方。
生きているモノは、死にたくない。それは共通している。
植物などは、種子を運んでもらう為に、果実をつけるモノもいる。
果実をつけるコトで、他の大切な部分が食べられるコトも、防いでいるように思う。
自分が生きるコトと、相手を生かすコト。さらに生息域を広げるコト。
動けない植物の戦略は、見事と言うしかない。
戦った所で勝てない。植物は、食べられる存在でしかない。
ただ黙って食べられるのか。外側を堅くしたり、大きくなったり、沢山種子を飛ばしたり。
その戦略は様々。文句の一つも言いたいだろうが、状況に合わせて、自分を作り替える。
相手を利用し、自分も相手に利用される。
そんな植物を考えると、ふんぞり返っているニンゲンは、どれだけ知恵を使っていると嘆きたくなる。
やはり弱い者でないと、知恵は使わない。強く偉くなってしまうほど、知恵は使わなくても済んでしまう。
弱い者が、生き残る為に考える戦略。相手を殺すコトも傷つけるコトも出来ないその中で、生き残る方法。
それは相手も得をして、自分も生き残ると言う方法。
相手にとって価値ある存在になれば、簡単に殺されはしない。
相手からも、生きていて欲しいと思われる存在になる。
強いモノほど、安易に生きようとする。ヒトが知恵ある存在と思うなら、もっと知恵を使って良い。
相手にとっても、良い方法とはナニか。答えはおそらく、現時点ではどこにも無い。だからこそ考える。
地球上にいろんな生物がいる。簡単にいえば、強いか弱いかだが、それだけでは無いもっと深い構造を持っている。
出来れば、個を殺さない。最悪でも、種を殺さない。
でも、沢山の種が、絶滅してしまっている。おそらくヒトがやり過ぎているから。
知恵を、手前勝手に使っているから。
これからのヒトはどう生きていこう。まずは、種を殺さないコトからだと思う。
虫刺されは、生き方。太陽と地球からの栄養を、奪い合う生き物。その生き方は、決まっていない。ヒトも、ヒトの生き方を変えても良い。