びーむ
ヒトの、飛び道具。
目には見えない。
声は飛び道具で、ヒトが持つ、目には見えないビーム。
遠くの相手にも届く。自分の分身を、その場にいながら飛ばすコトを可能にする。
視界が悪くても、真っ暗闇でも関係なく、自分の存在や相手の存在を、知らせるコトが出来る。
武器になり、ヒトを怖がらせ、傷つけるコトも出来る。
薬剤のように、傷を癒し、凍った心を溶かすコトも可能。
ヒトを楽しませ、ヒトを感動させ、ヒトの感情を揺さぶるコトも、この声という飛び道具が行う。
物理的に何かを傷つけるという所まで、声はしない。
繊細に空気を揺らし、その振動にいろんなモノを乗せて、相手に届けていく。
目に見えないモノを信じないヒトも多いが、こんなに近くで頻繁に使われている。
声は目に見えない。でも、使いこなしている。その繊細な音声を、完全にモノにして使っている。
コレを失うと、どうなるだろう。
遠く離れた人とは、見える形でのコミュニケーションになる。
見えなければ、コミュニケーションはとれなくなる。
視界が遮られたり、真っ暗闇の中では、かなり近くにいたとしても、それに気づかない。
声のビームは、ヒトとヒトとの間を、結んでくれている。
にも関わらず、少し扱いがぞんざいな気がする。使い方というのも、あまり教わらない。
良い方向にも、悪い方向にも使えるこの道具を、野放しの状態で使っている。
もっとこの声のビームについて、深く的確に考えを巡らせるべきだと思う。
声を記号として、文字化したモノが言葉となる。この文字の言葉の研究は、進んでいる。
言葉遣いや、その構成など、いろいろと試されて高度にはなっている。
でも、声との組み合わせは、おろそかになっている。声は見えないので、ぞんざいな扱いになるのだと思う。
声の強弱、間、呼吸、速度、高低など、要素の組み合わせは多い。
それによって、どんな影響をうけるのか。この声の出し方ならば、相手はどんな影響をうけるか。
もっと研究されて良いように思う。やはりヒトは、見えるモノに相当ウェイトがかかっている。
声のコトを考えて、それを再認識した。
ビームは声。ヒトが持つ、重要な飛び道具。声は、すごいスピードで動く自分の分身。それだけに、もっと気をつけたい。