かお
いくつある。
で、なければならない。
その場所では、その顔でなければならない。いくつもの顔。
場所や、ヒトに合わせて、自分の顔を使い分ける。
裏切れぬヒトの前では、そのヒトの求める顔になる。
自分の顔は、ひとつとは限らない。
成長によって、生活環境はめまぐるしく変わる。その度に、ヒトに向ける顔もそこに合うモノになる。
子供の頃と比べれば、まるで違う顔。
それは当然。でも、子供の頃から知られているヒトは、子供の頃の顔を求められる。
まるで違ってしまっても、まわりから求められる。
すると、まるでとってつけたような顔を、作り上げるコトになる。
自分の顔は、ヒトが決めている。
それが頻繁になれば、ホントの自分の顔が分からなくなるほど。
自分の顔など無い。
求められて、それに答えるだけで精一杯。
顔は、脅迫されて作られる。その顔でなければ、そこで生きていけない。