さいれんと
変わり目はない。
本当はあるが、表には出さない。
変わっていく時は、ざわめかない。ずっとサイレント。
人も社会も変わり続けるが、変わるよというアピールはない。
全く何事もなかったように装って、静かに変わっていく。
以前からずっとそうでしたとでも、言わんばかりに。
確かにわざわざアピールする必要もないし、アピールする場所もない。
それで、いつの間にか大幅に変わっている。
より良いモノの方へ変わる時に、最初から良いと判断できる保障はない。
従来との差があるほどに、”なんじゃこりゃ”と思わせる。
差があるほど、最初は否定的な考えに包まれる。そのあと徐々に、良いモノであると理解するようになる。
理解するにも、時間が必要。
そして、いつの間にか変わっていくという流れ。
これだけ変化しているにも関わらず、やはり変化というのは恐いモノでもある。
勝手知ったる従来に比べて、新しいモノは未知のモノ。
どうやっていいのか、ナニをしたらいいのかも分からない。スタートラインに立たされる。
未知のモノに対しては、今までの全てのモノは無効になる。
今までの自分の否定。それはイヤなコト。
それで新たなモノを嫌う。もしくは、時間も掛かるし、恐がりもする。
従来に染みついた自分を、引きはがすコトへの抵抗。そしてスタートラインに立つ無垢の自分を、さらすコトへの恐怖。
まるで赤ん坊のように無垢になる自分を、さらすコトが恐いので、以前からずっとそうでしたのような振る舞いをする。
それでサイレント。
結局ご立派な自分が、足を引っぱる。みんな、あり得ないくらいプライドを持っている。
ワケのわからないプライド。自意識過剰という言葉がシックリくる、プライドという重りを溜め込んでいる。
その重りは、自分を不安にもさせる。このやり方で良いのか、間違っていないか、まわりを見る。
他のヒトと違うコトも、恐怖。溜め込まれたプライドは、他の人にとやかく言われたくない、守りの質。
譲れないモノとは違い、流れの真ん中にいたいという、ポジションのプライド。
自分であるコトより、より良いポジションに居たいプライド。
ポジションを取るコトは、ある意味優位に立っている証拠。それを欲しがっている。
しかも、がむしゃらにそのポジションを獲得するのではなく、サラリと当たり前のようにいるコトを良しとする。
何とも面倒くさいモノ。でも、それを望むヒトは多い。
それで、変わる時はとても静かに変わっていく。
変わっていないように見えても、諦めなくて良い。彼らが動き出せば、一変する。
世の中が変わるかどうかは、彼らが動き出すかどうか。
流れの真ん中に居たいヒト達が、世の中を静かに変えていく。
目に見えて変わる場合もあるが、殆どは静かに、地味に変わっていく。
サイレントは、プライド。ご立派な振る舞いをして、良いポジションに居たいヒトばかりというコト。ややこしいが、しょうがない。