つっこみ
言葉のコミュニケーションは、いろいろある。
遠慮気味に行えば、だいたい問題ないハズなのだが、例外はある。
ツッコミというのは、遠慮をしながらすると、成立しない。
かなり攻撃的に、粗暴な言い方をして、成立する。どうして、遠慮するとマズイのだろう。
もしもツッコミが指摘であるなら、配慮を持って遠慮しながらで、問題はない。
とすると、ボケに対してのツッコミは、指摘ではないというコトになる。
ではツッコミとは何なのだろう。この特異な言葉のコミュニケーションは、どこへ行き着くというのだろう。
遠慮しながらツッコむと、とてもシリアスに受け取られてしまう。
ボケというのが、あえてしているのにも関わらず、シリアスにされては目的が違ってしまう。
あくまでも面白くしようとしてのボケ、それに対して真逆に当たるシリアスで返しては、意図から外れる。
冗談の範囲に着地させなければイケない。
では、どうして攻撃的で、粗暴な言い方になるのだろう。
まずツッコミの、口調の速さ。日常の会話よりも、とても速い。おそらくそれにより非日常であると、印象づけるのだと思う。
さらに強く言うのは、強調する為。普通に言うと流れてしまう。そこで区切る為に、そうしている。
速く強く言うコトで、非日常を強調し区切っているが、同時に攻撃的で粗暴な印象も与えてしまう。
ただそれも目的ではない為、あくまでも冗談の世界だという、理解は必要になる。
その理解は、ある程度の時間で、すぐになされる。本気なのかフィクションなのかは、しばらく見ていれば分かるモノ。
言葉のコミュニケーションとしてはどうだろう。冗談の世界のボケとツッコミ。
とても独特な使われ方。ツッコミの言葉は、相手に向かっているようで、どこか遠くに投げているようでもある。
目的を定めず、不確定多数のヒトに向けられている。
これは言葉の使い方としてはとても珍しいが、お客さんを意識してなら当然であるとも言える。
ツッコミというのは、あくまでも第3者を意識した芸能で、お芝居の役柄なのだろうと思う。
芝居にしては、それが日常的に行われるので、そう見えないのかもしれない。
もしもツッコまなければイケないシチュエーションが来たら、思いっきり大声で早口で、遠くに投げるように言おう。
それは、ツッコミという役を演じるヒトの務め。
遠慮をしては、第3者には届かない。第3者がいなくても、速い口調で強く言うのが、ツッコミ。
ただ、慣れないと、かなりリスクを伴う役柄だとも思う。
ツッコミは、お芝居の役。第3者を意識して、速く強く言う。コミュニケーションで、芝居がかるのは珍しい。