かこまれる
とても手に入れたい。
そして、近くに置いておきたいと思う。
好きなモノに、囲まれて生活するのは、一つの夢と言える。
好きなモノは、手に入れたいし、そばに置いておきたい。
とはいえ、手に入れた途端、なんとなく意味が変わってしまう気もする。
せっかく手に入れたのに、どうして意味が変わってしまうのだろうか。
実をいうと、好きなモノに囲まれる生活というのも、実際してみると案外つまらない。
というより、日常の中に入り込んでしまった段階で、色褪せてしまう。そんな気がする。
それはなぜだろう。
好きなモノを思い描いている時は、自分の頭の中でのコト。
手に入れてしまうと、頭の中で思い描く必要はなくなる。手にとって、眺めればよくなる。
頭の中で思い描いている時は、頭で考えている時。頭の中でそのモノが、自由に動き回っている。
手に入れてしまった段階で、そのモノのコトを考えているのは、手に取っている時だけ。
それ以外は、目に入っていても、案外何も考えない。日常に溶け込んで、ナニも感じなくなってしまう。
もしかすると、手に入らないモノを、自分の中で自由に動かしているのが、一番楽しいのかもしれない。
手に入れて、日常の中に入り込んでしまった段階で、モノは自由には動かない。
頭の中だから、自由に動くのであって、実物は案外動いてはくれない。不自由な存在。
手に入らないというのも、大好きなモノなら、良いかもしれない。その方が、本当はイイのかもしれない。
勝手に頭の中で思い描いていた方が、ずっと自由に動き回っていられる。
何でも手に入る現代だから、分かる。手に入れると、とてもつまらない。頭の中で遊んでいた方が楽しい。
ヒトはそれでも手に入れたがる。ただ、手に入れたあとも、手に入れていない時同様、頭の中で遊んで欲しい。
それが一番楽しいから。もしもそれが出来ないのであれば、手に入れない方が良いかもしれない。手に入れると、つまらなくなってしまうので。