そくど
味わうには、見合った速度がある。
急くと、十分には味わえていない。
味わえているつもりでも、実は味わえていない。
不十分なまま、通り過ぎていく。
味わうまでには時間が掛かる。そのモノが、体の感覚部に届いて、処理が始まる。
脳の中で、理解処理され、そのあと広がっていく。この頭の中での広がりが、味わうこと。
この広がる前に、次々情報が入り込んで来てしまうと、広がる時間がない。
まだ広がらない、つぼみのまま、すぐに消えてしまう。
確かに昔に比べれば、たくさんのモノを、味わうコトが出来ている。
ただ、逆にそれがあまりにも多く入り込んでくるので、味わい切れていない。
広がりは、自分の中での熟成。おそらく昔のヒトの方が、熟成したモノを味わえている。
速度が速すぎる。モノが多すぎる。
もっとゆっくり、もっと少なく。
とても難しい。それでも、自分の中で熟成させる為に、あえて少なく、そしてゆっくりと。