きおく
記憶は、夢のように。
記憶は、夢と同じように振る舞う。
ある過去の時期を基準に考えると、今のこの自分の状況は、夢のように思えてくる。
現実感が少しあるだけで、何かをほんのひとつハズしてしまえば、ただの記憶の世界でしかない。
現在に生きているのと同様に、過去にも生きてきた。その記憶と、現在の日々と、違いはほんのわずかなモノ。
このほんのわずかで、今の状況を、現実だと認識している。
この現実も、とても薄い氷の上にあるだけで、記憶の世界と変わらない。
薄い氷が割れれば、どぎつく残る過去の世界に、一瞬で戻らされる。
もちろん過去などに、実際に戻るコトなどあり得ないが、現在に至るまでにいろんな奇跡的な出来事で、今があるんだとふと思わせる。
生まれてから死ぬまで、長い年月をかけて、何枚も記憶を刷り上げていく。
どのくらいの種類の記憶を持てるか。いろんな種類の記憶を持つコトが、自分の財産になる。
そしてその間に、いろんなヒトのチカラが介入している事実を、再認識させてくれる。
いろんなヒトに助けられて、今の自分の状況がある。そのヒトたちも、自分にとっての財産。
記憶は、自分だけしか持っていない、とてもうつろいやすい夢のようなモノ。
それでも、その一枚一枚の記憶達は、自分にとっての財産。自分だけの財産。触るコトも、交換するコトも出来ないが、とても大切な財産と言える。