いきもん
生き物は、どこに向かうのだろう。
他を食してでも、生きようとする。
他のイイ所を取り込んで、さらなる存在になっていく。
最初の生命は、とても小さいモノ。
そしてあまり自由に動けない、受動的な存在。
それが少しずつ大きな存在になる。もしくは、自由に動けるようになる。
より力強く、速く動いていく。
他を食し、さらに大きく強くなっていく。
あらゆるカタチが試され、あらゆる強さが試される。
そしてヒトは、他を利用する。より強いモノを利用し、さらに改良し、自在に操る。
モノの根源を知り、組み替え、さらに新たなモノをつくり出す。
生きるために、存在するために。生き物のその営み。
おそらく、不自由で弱い存在のままでは、居たくなかった。
より影響力の大きい、おびえなくて済む存在になりたかった。
そんな生き物たちの、テーマ。もしかしたら、ヒトはある程度、ゴールに辿り着いてしまったのかもしれない。
自分自身ではなく、道具という力を借りて、速く、強い存在になれた。おびえなくてもイイ、存在になれた。
ヒトはもう、辿り着いてしまったのかもしれない。
望むモノになれた時、生き物は、どこへ行くのだろう。
他の生き物は、まだ日々おびえている。強くなろうと、存在し続けようと、生きている。
もうヒトは、生き物ではないのかもしれない。
あの小さかった存在の頃へ、自由に動けなかった頃へ、想いをはせてみる。
確かに自由になった、確かに強くなった。そしてさらに知ろうとしている。さらに新たな物を、つくり出そうとしている。
影響力の弱かった原点から、とんでもなく影響力の大きい、ヒトという存在になろうとしている。
もしも動くコトすら出来なかった、最初の生物が、ヒトという存在を見たら、どう思うだろう。
ただの強さではない、広がり。ヒトは、生き物はとても広がっている。
生きるために、存在するために、いろんな広がりを持ってきた。ヒトもまだ、いろんな意味で、広がる必要がある。
色んな要素を、まだ伸ばす必要がある。単純な強さではない、速さではない、もっと違う要素。
生きていくためには、その都度新たな要素を伸ばしていく必要がある。
これだけ望む存在に成れたヒトは、次はどんな要素を伸ばしていくんだろう。
生きていくために。存在していくために。まだ伸びる。まだ広がる。さらに先へ。さらに高度な意味を持って。