すくいの
結局お笑い芸人は、とてつもなく美しい。
人の世は厳しすぎて、自ら命を絶ってしまうヒトも、現実存在してしまう。
みんな許しが欲しくて、とくに自分に対しての許しを、実は必要としている。
お笑いは、その許しを人びとに振る舞っている、崇高な仕掛け。
あんなバカでも生きてやがんのか、なら自分ももう少し生きてみよう。そんな風に思わせたら、大成功。
イヤな思いはする、汚れる、恥ずかしむ、みじめにもなる、それでも笑いがとれたらいい。その意識は、紛れもない自己犠牲。芸人さんはみな、その意識は持っている。
芸人さんは、おそらくそこまでは考えてはいない。自己犠牲なんて思っていない。
それでも、きっとどの芸人さんも、笑ってもらえればいい。自分がどんなにイヤな思いをしても、という覚悟を持っているハズ。
それこそが美しい、自己犠牲。そしてそれによって、許しが振る舞われ、生きていこうとも思わせる。
世の中が許しが無さ過ぎて、それだけに世の中は笑いを必要とする。
おバカっていうのも、実は素晴らしくてとてつもなく美しい、自己犠牲の救いのおしごと。